「銀河鉄道の夜〜サチコクエスト・水の国と地の国と雷の国偏〜」




どうも…風間…丈介です…

え〜、剣と魔法の国に来てから数々の困難に直面してきましたが、今まさに最大のピンチに直面しています。


さぞ綺麗な国と期待していた水の国でしたが訪れてみればソコは世紀末。

人相の悪いムキムキ野朗が人間狩りを行っている最中。そして俺を導いてきた猫のカインはそいつ等を倒せと俺に行ってくる。


無理…つーかここに法と秩序はないのか…



「勇者様、早くしないと村娘がとても口に出せない事に…」


え?この小説ってマジでそんな事になるの?
確か15Rのはずだよな。いくらなんでも野党に襲われる村娘とか描写しないだろ。

そこはアレだよな、さっそうと勇者が現れて村娘を助け…勇者が…現れて…


「勇者俺だよ!!」


俺が勇者だった。村娘を助ける役って俺かよ、イコールあの兵士を倒すのも俺かよ。

イヤだ。強そうだし、何より人間殺すとか無理。

俺だってモラルがある。そうだよ、いじめられてる猫を助けるような純粋な心があるんだ。


「勇者様、猫は助けて女の子は助けないんですか?」


俺の心を透かすようにカインが言った。
クソ、反論できねぇ。

確かに女の子が目の前でそりゃもう大変な事になるっていうのに黙って見てるのか!?

いいや、いくら俺に主人公的熱血が無くてもそれはダメだろ。

それにここは夢みたいな場所だ、兵士を倒しても殺人にはならない。きっと剣で斬ってもゲームみたいに、ふっと消えるだけだ。血も出ないだろうし怖くないはずだ。



俺が自問自答している間にも村娘達は次々と兵士に捕まっている。



「勇者様、さっきの道でレベルは63まで上がってます。頑張ってください。」


その言葉で、俺は飛び出す決心を決めた。しかしそこまでレベルが上がったのなら何らかのスキルを覚えているはずだ。
それがあれば多少恐怖は和らぐ、出来れば遠距離攻撃が出来る魔法とかがあれば楽なんだが。


「カイン俺に何か技とか魔法はないのか?さすがに戦うだけじゃ心細い。」


「そう言うと思ってさっき勇者様のスキルを振っておきましたよ。中盤に取れる最強の必殺技です。」


なんだって中盤に取れる最強の必殺技?
最強ってぐらいだ。きっと剣から真空波が出たり 雷を落とす魔法とかだぞ。よぉし、これで楽に戦える。

「それで、どんな技なんだ?」


「諸刃斬りです…」


「それって、俺もダメージを食らうのか?」


「諸刃斬り 敵に攻撃力の5000%のダメージを与え、使用者は反動で死亡する…。」


「死ぬんじゃねぇか!?」


「死にますね。でもここぞって時に使うと一発でボスを倒せますよ。」


「黙れやっぱりテメェは悪魔の使いだ!!俺を殺す気か?」


「いやー便利なスキルなんですけどね〜」


俺の命に関わる事をたんたんと、つらつらと、平然と…



「他に技はねぇのか?」



「実は諸刃斬りにスキルポイント使ってしまって、後取れるのは初級魔法ぐらいですね。」


「なんでもいいからセーフティかつ役に立つのを取れ。」


「じゃあコレなんかどうでしょう。ウィングブーツ。靴に魔力を注いで走るのを早くします。」


「あぁいいよそれで。」


とりあえず何でもいい、安全なら何でもいい。俺はウィングブーツのスキルを獲得してそれを使用した。


「…え〜と、ウィング…ブーツ!!」


俺が唱えると、心なしか足元が軽くなったような気がした。見ると足元に小さな羽根が着いてパタパタと動いている。



「カイン、これどうすればいいんだ?」



「進みたい方向に足を出してください。そうすると…」



俺はカインの説明が終わる前に足を出した。なんで俺はこう落ち着いて人の話を聞かないのだろうか。

出した足は体を引っ張り、靴は命を持った鳥のごとく羽ばたいた。

一瞬にして俺はおそろしい速度に達し、訳の分からないまま地面に激突した。




「あぁぁん?なんだ、コイツは?」


人間狩り中の兵士のまん前に突っ込んでしまったので周りは敵、敵、敵。

俺はなんとか地面に突き刺さった頭を引き抜いて立ち上がった。



「助けてください。お願いします。」


そして後ろにいるのは村娘達…涙を浮かべて俺に助けを求めている。


「お前、俺たち火の国の兵士軍団にたてつく気か?」

兵士が筋肉をぴくぴくさせながら言った。

えー人数はざっと見て15人…


俺はビビって後ろに逃げようとすると村娘達が目を潤ませている。そしてしまいには…

「あ、あれは伝説の勇者の紋章。」

一人の村娘が叫んだ。俺は自分の鎧にそれらしい紋章があるのに気付いた。


「それに見て、あれは伝説の勇者が使ったと言われる聖剣 ムラサメキャリバーZ よ。」


ムラサメキャリバーZって何てネーミングしてやがる。今まで使ってきた剣がそんなダッセー名前だったなんて…



そうしている内に…


「この方は伝説の勇者様に違いないわ。」


「奇跡よ…」


「勇者様…」



えー見る見る内に勇者コールが始まりました。
後ろでは勇者コールの大合唱、前では世紀末ムキムキ野朗がキル勇者コール。

前門の虎 後門の龍とはこの事か?逆だったかな…



「勇者だかなんだか知らねぇが、やっちまえー!!」



こういうのは3人ずつ位と相場が決まっているものだが、やつらただの一般人に15人まとめてかかってきやがった。

ええい、こうなったらやるしかない。レベルでは確実に勝ってる。ちょっと怖いけどどうせ血も出ないだろうし、手ごたえも無いはず。途中で倒したモンスターだってそうだったんだ。

きっと…きっと…


俺は兵士にムラサメキャリバーZを振り下ろした。


「ぐぎゃぁああああ〜」



血しぶきが、俺の体を真っ赤に染めた。目の前には内臓半出しで絶命寸前の兵士が…

手には肉を切った手応えがしっかり残っている。



「勇者様〜カッコイイ〜〜♪」

「素敵〜痺れるわ〜♪」

「殺して〜皆殺しよ〜♪」


え〜っと…村娘達は目の前で起こった出来事に何ら怯えるでもなく勇者コールに拍車がかかっただけだった。
俺だけか?俺だけがおかしいのか?




そうして…兵士軍団を倒す頃には俺の体は真っ赤に染まっていた。




「母さん…涙が止まりません。」




「勇者さま〜♪」

精神的に燃え尽きた俺に、村娘達が胴上げを始めた。
こんな殺人鬼の如く所業をした俺を称えるって…一体なんなの?



「勇者様やりましたね。後はお姫様だけですよ。」


そこへカインが現れいつもの調子でたんたん次の目標を掲げた。



「ダメ…ボク立ち直れにゃい。」

「勇者様元気を出してください。よく言うじゃないですか、一人殺るのも二人殺るのも一緒ですよ。」


「慰めのつもりかアホ猫!!」


「あ、元気でた。よかったです。」


デビルキャットがぁ〜〜〜〜















そうして、水の国の城に潜入した俺達だった。

カインはノリノリで進んで行くが、俺はもう廃人になる寸前だ。


「カイン、俺は後何人殺せばいい?」


「邪魔な人間の人数分ですね。」


…コイツに何を言ってもダメだ。人間には言語があり争わずに話し合うという道を知らないんだ。
そうだよ、あの兵士だって雇われていただけで本心から村人を追い掛け回していたんじゃないはずだ。


「カイン、お姫様を本当に殺すのか?」


「えぇ。」



「ちょっと待てよカイン。俺達は人間だぜ、モンスターならまだしも人間どうし争うなんておかしいよ!!」


「ごもっとも。」



「火の国のお姫様だって話せばきっと話かってくれるって。」


「そうですかにゃ〜?」



「そうだよ。」


「そうですかにゃぁ?」



そうしている内に、俺達は玉座の間に到着した。

最初に気付いたのは パシパシ と何を叩く音と悲鳴。

そして聞き覚えのある声だった。



「邪神様にたてつく愚か者め!!さぁ〜ムチがイヤなら許しを請いなさい。」


え〜今まで色々なショッキングな光景を目の辺りにしてきた私ですが、今回のも結構キツイです。

女の子(恐らく火の国の姫) がムチで 女の子(恐らく水の国の姫) をビシバシ叩いている。


叩いている方は高笑いをしながら 邪神様がどうのと叫んでいる。 叩かれているほうは服が破れて所々血が…



「お許し…ください…、ほのか…様。」


「おーほっほっほっほ、最初からそう言えばいいのよ。」



ほのか?


良く見ると叩いてるほうのお姫様はあの悪魔崇拝者ほのかそっくり。
かたや叩かれているほうのお姫様は今まで何故出会わなかったのだろうと思わせるぐらいの、追い求めていたヤマトナデシコを具現化たような女性だった。




「貫け、聖剣ムラサメキャリバーZ!!」



「きぁああ〜〜!!」


(勇者は剣技 魔女狩り を習得した。 魔女に対して威力50%アップ)



俺は一撃のもとに悪魔崇拝者を斬殺し、囚われていた水の国のお姫様に駆け寄った。



「勇者様言ってる事と違う。」

カインはその光景を呆然と眺めていた。この時、初めてつっこむ側に回ったカインは男というのは女一人でこうも変わるのだな、と少し大人になった。




「姫!!なんと酷い。カイン、スキルポイント余ってたよなぁ!?」


「えぇ、ありますよ。」


「今後の事など気にしないで回復魔法取れ。」


「えぇ?勇者なんだから攻撃…」



「シャラップ!!シャラップ・ザ・カイン。」



「分かりましたよ〜」


ごねるカインを畳み込み、一番強力な回復魔法 キズナオールverΩを取得した。


「勇者の名のもとに、癒しの光よこの者に集え。」


俺が呪文を唱えると、それっぽい光がお姫様を包み、それっぽいエフェクトが発生して見る見るうちにお姫様の傷が癒え始めた。




「ありがとうございます、勇者様。火の国によりこの水の国は最早崩壊寸前でした。勇者様はこの国の恩人です。」

なんていい子なんだ。それに…可愛い…つーか好みだ。
青葉と違って大人の女性だし、落ち着いていて、それに…


「何て心の澄んだ方なんだ…」


「ろくすっぽ話してもないのに何で分かるんですか?」



カインが余計な事を言っているが、気にしない。この人は澄んだ水のような心を持っている、きっとそうだ、絶対そうだ、そうに違いない。
これが、恋なんだな…



「勇者様、この国ならず他の国も火の国によって崩壊の危機に直面しています。どうか世界を救ってください。」


「例え火の国がこの世界を業火で燃やそうとしても、この剣で全てを薙ぎ払ってみせましょう。」


「勇者様…なんと凛々しいお方でしょう。どうかその暁にはこの国の王になってはくれないでしょうか?国王と女王はすでに火の国も者に…」



水の国の国王?!?!?!?!?!?

って事は…俺は…このお姫さまと結婚するのかぁああああああああ?






「任せてください!!この勇者丈介に!!」







やってやる、やってやるぜ。俺はこの世界を救うぞぉぉぉぉおおおおおおおおお!!








そうして…俺は真の勇者に目覚め。

襲い掛かる敵をばっさばっさと斬りふせた。


地の国ではゴーレム軍団に立ち向かい…雷の国では神獣を狩り…天空にあると言われる城を見つけ…海底にあると言われる超絶古代兵器を破壊し…

南にドラゴンが出たと言えば駆けつけ輪切りにし、北にグリフォンが出たと言えば駆けつけ串刺しにし、東でガーゴイルが大量発生した言えば皆殺しにし、西にヤマタノオロチが出たと言えば両断した。



そうして…火の国を制圧し、俺達は遂に…魔女の城へ到着した。




「着いたな。」



「着きましたね。」



カインに出会って数ヶ月、水の国で目標を見つけ急激にレベルアップした俺。そんなこんなでレベルは280に到達した。

スキルも魔王級の魔法や、レジェンド級の剣技が目白押しだ。

やれる、やれるぜ。



「幸子さんをぶっ倒して、俺は水の国の王になる。」



「丈介さん…そんな新世界の神になる的発言…。」



「黙れカイン。俺は今まで一回だってまともな女の子に会った事は無かったんだ。これは一生に一度のチャンスかもしれないんだぞ?」


「まぁやる気だしてもらえてこっちは満足ですよ。」



「ヨッシャぁあああああ。行くぜ魔女の城に!!」























END

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