「銀河鉄道の夜〜もう大偏〜」




こんにちわ、始めまして。この物語の主人公の 風間 丈介(かざま じょうすけ)です。
高校1年の普通の男子高校生。ただ違うのは親が旅行中で家には中学2年生の妹と家に二人暮しという事だけだ。


現在午後2時、当然青葉は起きており逃げる事は不可能。今も目の前で頭を抱える俺を嬉しそうに眺めている。
そんなに俺が困っているのが嬉しいのか?楽しいのか? 魔女め。
魔女か…自分で言って的を得た表現だ。
次から次えと笑顔でトラブルを巻き起こす。

クソ、世が中世なら国家権力による魔女狩りがあるものを…


「兄さん、気分でもすぐれないのでしょうか?」

ため息をつく俺を気遣ってか青葉が言った。

お前だよ、お前のせいだよ。お前さえマトモなら俺は幸せなんじゃ。と心の中で大声で叫んでから…

「大丈夫だよ。」

「そうですか。それはよかったですわ。」


どうすればいいんだ?俺が地球に帰るにはどうすればいいんだ!?


落ち着け。


そうだ落ち着くんだ。


落ち着くのは俺の得意分野じゃないか。

こうやって胸を撫でて深呼吸をして。そうするとだんだんと心が落ち着いてくる。

よし、もう大丈夫だ。さっきまでの乱れた心は静まり、今は波一つ立たない水面があるだけだ。

そうだよ、いつもこうやって切り抜けてきたんじゃないか。何かあったら嫌な事を全部忘れて…深呼吸して…


結局、どうにもならないんだよ実際!!





そうだ!!押してだめなら引いてみろ、その逆もあるんじゃないか?

今まで逃げてばかりだったが合えて青葉の策に飛び込んでみよう。
もしかしたらこうやって逃げる俺を追いかけて青葉は楽しんでいるのかもしれない。素直な俺を見せ付ければ青葉も冷めるはずだ。
そうすると青葉はかなりのサディスティックという事になるが…
まぁいい、とにかくやってみよう。


「青葉、聞いてくれ。」


「はい、兄さん何でしょう?」


「俺は今までお前から逃げるようなマネをしていたが、実は恥ずかしかっただけなんだ。素直に俺を好いてくれるお前を、本当は受け入れたかったんだ。」

「に、兄さん。」

今まで笑顔を崩さなかった青葉の表情が変わり始めた。明らかに動揺しているのが分かる。
これはいけるかもしれない。かなり危険な賭けだったが当る気配がある。
もう一押しだ。


「青葉、お前が好きだ。」


「兄さん。」


「お前が欲しい!!」


「兄さん!!」



「俺と結婚してくれ!!」


「はい!!喜んで。」









俺はバカかぁあああああああああああああ!?



俺は青葉に結婚を申し込んでしまった。よくよく考えてみれば明らかに俺の行動はバットエンド一択だった。
何故ここまで来て青葉に求婚しなきゃいけないのだ。

俺の読みは見事に外れ青葉は涙を流して嬉しがっている。



「兄さん。兄さんがそのような考えをお持ちだったとは青葉は存じませんでした。」

「青葉…その…だな。」

「今夜は長くなりそうですので十分にお食事のほうをおとりになってくださいね。」

ま、待て。こいつ…本気だ。
そしてこいつを本気にさせたのはこの俺。

今こそ言おう…


クソ!!最悪じゃないか。最悪中の最悪を俺は引いてしまった。

とりあえず今夜までにどうにかしないと俺は…俺は…






そして夕食。

SLには豪華なレストランがついており、朝昼晩と全てここで済ませる事になっている。
気に入っていたレストランだったが、どういう訳か今日は気に入らん。全く持って不愉快だ。

いつもなら洋食メインの食事だったが、本日のメニューはというと。

「スッポン鍋…」

周りのテーブルを見ると皆ごく普通の料理を食っている。ステーキとかサラダとかそういう洋食的で平和で一般的なヤツだ。

何故か俺と青葉のテーブルだけコンロに鍋がのかっていて、鍋の中でスッポンと野菜が艶めかしく踊っている。一体何を暗示しているというのだ。
そしてオドロオドロしぎる。


なだっていうんだ?何だって俺たちだけ?


「兄さん、鍋が煮えましたわ。さぁ頂きましょう。」


お前か青葉。


青葉は自らおたまを持ち、俺の分のスッポン鍋を小皿に取ってこちらによこした。

「はい、兄さん。どうぞ。」

いらん。俺はそんな料理いらん!!
食う気も無ければ見たくもない。

と大声で言ってやりたかったがこのレストランでそんなことは言えない。なんでこういう時も俺の一般人センスが垣間見るのか。
俺きっとアニメとかの主人公絶対向かないぜ。出ても友人Bとかそんな役だ。つーかそんな役になりてぇ。


「兄さん、冷めてしまいますわ?」

「あ、あぁ。」




そして自室へ戻り、俺は椅子に座って頭を抱えた。

なんて事だ。
結局俺は大鍋で作られたスッポン鍋を青葉と平らげてしまった。


なんて事なんだ。


心なしか先ほどから体が熱い。単に鍋を食ったからからのものだけではない。なんというか体の中から熱がふきだしてくる。
まずい、このままでは非常にまずい。


ここはどうにか誤解を解かなければ。青葉に直接言ってわかってもらうしかない。多分無理だろうがそれしかない。

「青葉実はさっき言った事は…」

「あぁ、なんて素晴らしい事なんでしょうか。」

俺の言葉を聞くまいと青葉が喋りだした。まるで何十本もの花を背中に担いでるが如く演劇チックだ。
宝塚にでも行く気か?





「叶わぬ恋だと思っていましたが、こうやって兄さんと想いを通わせる事できようとは。」



「あ、あのな青葉。」



「あぁ、まさに私達は肉親の壁という天の川に愛する事を阻まれた、織姫と彦星ではありませんか。世間という流星群が襲いかかっても、それでも兄さんは私を愛してくれた。」



「お、落ち着け。落ち着くんだ青葉。」




「星屑の川を泳ぎきり、そして私の元へと来てくれた。私を想う故、私を愛する故、私を抱きしめる為に!!」



「青葉…」

「そうですよね?兄さん。」



違う違う違う違う!!
違うんだぁぁぁぁ!!


そんなんじゃない。そんなんじゃないんだ〜〜!!俺はお前から逃げたいだけなんじゃ。
それが無理やりこんな展開にしやがって、これじゃもう空気的にどうにもならんじゃないか。

「そ…そうだよ。青葉…」

それを聞くと青葉はにた〜と口を歪ませ、足早にバスルームへと入っていった。


一体何故こんな早くに風呂に入る?
何故丹念に体を洗う?

バスルームからは ふんふんふ〜ん♪ などと鼻歌が聞こえてくる。よほど嬉しいのだろうか。

何故嬉しいんだ?
風呂に入った後何をするっていうんだ?


逃げるしかない。
今なら青葉は風呂だ。

そうだよ、逃げればいいんじゃないか。この前みたいに…


俺はさっそく部屋のドアノブへと手をかけた。
ドアを開けようとドアノブを回した時だった。


小さい腕が胴へと回り俺を抱きしめた。

何故だろうか、俺はそれまでこの部屋から逃げる事しか頭がなかったのに。

バスタオル姿で俺を抱きしめる青葉を、俺は一人置いて部屋を出る事が出来なかった。

それはスッポン鍋のせいだろうか?

いいや、それだけじゃないかもしれない。今まで生きてて青葉をただの妹だけ見ていたが、このSLに乗って俺は青葉の女に気付いたんじゃないか?

俺は、ためらいながら青葉の手を握った。

「行かないでください。どうか、行かないで。」



青葉の肌。

男と女ではこうも体の出来が違うだろうか。

触れ合っている青葉の肌は、今まで感じた事がないぐらいみずみずしく、まるで吸い付いてくるようだった。
それだけで俺は青葉との性的接触を意識させた。


「青葉…」

「兄さん…」



むせかえるような女の匂いが、せっけんに混じって鼻腔をくすぐった。

もうダメだ。常識という理性は崩れ去り、今はただ欲望という本能が疼きだしている。



また幸子さんが助けてくれるんじゃないか?などとそんな事を考えながら、俺は先ほど食ったスッポン料理の力に行動の全てを任せた。











END

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