「銀河鉄道の夜〜幼馴染偏〜」
こんにちわ、始めまして。この物語の主人公の 風間 丈介(かざま じょうすけ)です。
高校1年の普通の男子高校生。ただ違うのは親が旅行中で家には中学2年生の妹と家に二人暮しという事だけだ。
ここまでは前回と同じ始まり、ここからは皆さんに信じがたい事を伝えなければならない。
その妹が俺に婚約を迫り、なんとその承諾を得る為に両親を追いかけSLに乗って宇宙を旅しているのだ。
我ながら非常識な事態に直面していると思う。しかしこの現実を受け止め、事態を打開しなければ明日は無い。
現在午前2時。草木も眠る丑三つ時ってやつだ。当然俺は床に入って寝ていたい時間だかチャンスは今しかない。
妹の青葉から逃げ、地球へと帰るのだ。そうすれば俺にはごく普通の生活が訪れる。
SL内にある客室、今俺はそこのベットにいる。青葉の策略により部屋をダブル一つしか取ってもらえなかったので隣には青葉がすやすやと夢の中だ。
この歳になって妹と同じベットに寝る事になろうとは…クソ。
だが、だがそれもこの一回で終わりだ。これが最初で最後。俺は青葉から逃げ出し、次の星で降りて帰りの宇宙船に乗る。
「クハハハ、行ける。行けるぞ!!」
ヤベ!!俺は慌てて青葉を確認した。
…ふぅ、どうやら気付いてないようだ。
つい声を出してしまった口を塞ぎ、俺はベットを降りようと布団をはぐった。そして布団から出てベットを降りようとした時だ。
何かひっかかるモノを右腕に感じ、俺はベットから降りられないでいた。
右腕には鉄の感触。そして引っ張ると同時に青葉が少しだけ揺れた。
!!
右腕には…ワッパが(手錠)繋がれている。そしてそれは青葉の左手にも…
クソ!!迂闊だった。先に起きようとして青葉より先に寝たのが失敗だった。まさかこんな事になっていようとは…
「…兄さん。」
き…気付かれたか!?
突然の声に驚き、俺は青葉へと視線をやった。
どうやら寝言のようだ。青葉はすやすやと眠っている。
「驚かせやがって。」
「兄さん…青葉の中に…」
!?青葉の中に?一体どういう夢を見ているんだ。内容からして容易には想像はつくがそんなもの容易に想像させないでくれ。
背徳感と嫌悪感が体中を駆け巡る。
「どうか…青葉の中に…。」
何を青葉の中に…だって言うんだ。夢の中の俺は一体青葉に何をしているっていうんだ。クソ、クソ。手錠が外れない。
早くここから離れなくては。もう聞きたくない。
「どうか…青葉の中に…兄さんのハイマットフルバーストを!!」
一体夢の中の俺が何をしてるっていうんだぁあああああああああ!!
俺は気合と根性で手錠を外し(そんなもの簡単に外れる訳がないのだが今は気にしないでくれ、それ所じゃない。)部屋を飛び出した。
SL(宇宙船)は既に星についており、俺は駅のホームまで逃げる事が出来た。ナイスタイミングだぜ。SLの中で隠れるのにも限界がある。
辺りは自分が住んでいた所と似たような町が広がっている。看板などから判断するにここは火星のようだ。
テレビなどでは見ていたが、本当に地球以外の星に町があったんだな。全く人類はスゲェぜ。
などど関心している場合ではない。今は一刻も早く地球に帰らなければ…しかしこの時間では宇宙船どころか電車だって動いてはいない。
さて…どうしようか。あても無ければここら辺の事もさっぱりだ。見当たるのはお土産やぐらい。
俺は途方にくれてとぼとぼと歩いていた。
「ジョー君?」
その時だった。俺を愛称で呼ぶ女の声。俺は後ろを振り返った。
「ほのか?なのか…」
後ろにいたのは見知った女の子。俺の幼馴染の 東条 焔華(さいじょう ほのか)だった。
小学4年の時火星の学校へ転向してしまったが、ほのかとは家が近いって事もあって家族ぐるみの付き合いだった。
昔から落ち着いているし、青葉と違ってバカもやらんし頼れるやつだ。
俺は安堵感から涙を流して喜んだ。
「やっぱりジョー君なのね。…どうしたの泣いたりなんかして…」
「あ、あぁ悪い。すまん。ごめん。」
「そんな、3回も謝らなくても。こんな時間に一人で歩いているなんて、何かあったの?とりあえず家に来て、久々だしちょっとお話しましょ?」
「うん…うん…」
俺はそのままほのかの後について行った。とりあえずほのかの家にかくまってもらって朝になったら家に帰ろう。
こんな所で知り合いに会えるなんて俺はなんてラッキーなんだ。
この決断が…後に大変な自体になるとは、今の俺には知る由も無かった。
しばらく歩いて、ほのかの住んでいる家についた。
ほのかはカギを使って自分の家のドアを開けた。深夜の帰宅に備えてカギを持ち歩いていたのだろうか。
家の中へ入ると人気は無く、物音一つしない。いくら寝ているからってここまではならない。
「ほのか、両親はどうした?」
「あぁ、今旅行中でね。しばらく帰って来ないの。」
「ふーん」
両親が旅行中か…どっかの家族と同じパターンだな。
「だから、ちょっと寂しかったの。ごめんね、強引につれて来ちゃったよね。」
「あ?いやいや、こっちこそ助かったよ。」
「ほんと?…嬉しい。」
ほのかはそう言うと自分の部屋へと俺を案内した。
部屋の中は昔地球にいた頃とあまり変わっておらず、かわいい人形と少女漫画のしきつめられた棚が並べられている。
女ってのはいつまでたってもこうなのかねぇ…
と、俺が本棚の少女漫画を流して見ているとこの部屋には不釣合い本が目に入った。
黒魔術入門…確かにそう書かれている。いや、何かの間違いだよな。あんまり寝てないし色々あって気が動転しているんだ。
黒魔術ってほのかの柄じゃない。
そうだ。それよりまず帰りの宇宙船の事を聞かなければ…
「なぁ、ほのか。地球行きの宇宙船って何時に出るんだ?」
「地球行き?ジョー君…地球に帰っちゃうの?」
俺が問うとほのかはいきなり深刻な顔になってしまった。何かいけない事を言っただろうか…
「ジョー君…私に会いに来てくれたんだよね?」
「え???いや、あの…」
ほのかはより一層深刻な顔になった。一体何があったっていうんだ…
しかしありのままを話すしかない。
「そ、それがな…青葉と一緒に旅に出たんだがな…」
「青葉ちゃんと!?」
いきなりほのかは声を張り上げコチラに聞いてきた。また何か変な事を言っただろうか…
「そう…青葉ちゃんと旅行してるんだ。」
「あ、あぁ。まぁな。」
俺が肯定するとほのかはポロポロと涙をながしてしゃがみこんだ。い、一体俺が…何を…。
「ほ、ほのか。一体どうしたって言うんだ?」
「私が…転向する日の事覚えてる?」
転向する日の事…たしかほのかを見送りに行ったような気がするぞ…
何かあっただろうか?
「大人になって火星まで私を迎えに行くって言ったよね?」
「は?」
「そしたら一緒に地球へ帰って…結婚しようって…」
「はぁあああああああああ!?」
ハッ!!そう言えば…
俺は全てを思い出したぞ。
あの日ほのかが俺を好きな事に気付いたクラスの女子連中が、グルになって俺にけしかけたんだ。
転向する前にほのかに告白してこいと…
どうせ火星になんていかないなんて安易な考えを抱いた俺は、適当な事を言って難を逃れたのだ。
クソ、クソクソクソ。昔の俺死ね。いや、そしたら今の俺も死んでしまう…いや、別にイイ死んでもいいよ。
ほのかが嫌いって訳じゃない。ただ…昔から一つだけ飲み込めない部分があるんだ。
それは…キレたら何をするか分からないってトコだ。
昔猫に噛まれた腹いせにその猫を川へ放り込んだ事がある。あの時はレスキュー隊が出動して大変な騒ぎになった。二人で飼い主に謝りに行ったのをよく覚えている。
俺は急いで部屋をドアを開けようとした…
しかし、体が思うように動かない。まるで何か見えないロープに包まれているようだ。それは足元から伸びて体中を縛っている。
!!
俺が足元を見ると、そこには禍々しい魔法陣が描かれていた。まさか…まさかこの時代にこんなものが…
振り返るとほのかがニタリと笑って、先ほど俺が見つけた黒魔術入門の本を持っていた。
「う…ウソだろ…」
「今日ね、邪神様からお告げがあったの。ジョー君が私を迎えにここへ来てくれるって…」
ほのかは動かない俺の体に手を触れると微笑みながら言った。
このうさんくさい魔法陣に加えて恐怖で体が動かない。
「だから、駅で待ってたの。そしたらホラ、ジョー君が私の部屋に来てくれた。」
「あ…」
声が出ない。助けも呼べないのか…
「でもダメ。ジョー君は私より青葉ちゃんのほうが好きみたい。だから一緒に死にましょ?」
死ですか!?婚約騒ぎの次は死ですか!?
クソ。俺クソって言うの多い気がするが今回も言わせてくれ、クソ、クソ、クソ!!
こんな所で死にたくない。まだやり残した事が一杯あるんだ。まずまともな女の子を見つけてまともに恋もしてないってのに…
こんな異常な女と心中するなんて絶対に嫌だ。
「青葉ちゃんがうらやましかった。いつもいつもジョー君と一緒にいれて…私もジョー君の妹だったら一緒にいれたのに…でもこれからはこれからは…」
ほのかは懐から錠剤を一つ取り出すと俺に見えるように掲げた。
「ジョー君見て、これが私達を天国を連れてってくれる魔法の薬よ。これで永遠に一緒…」
い、嫌だ。
ほのかは錠剤を口へ咥えると俺に唇を重ねた。砕かれた錠剤がほのかの唾液とともに俺の口の中へ広がった。更にほのかは俺の鼻をつまみ俺に薬を飲ませようとしている。
体の自由がきかない俺は無抵抗のままそれを受け入れる事しか出来ない。
誰か助けてくれ、父さん、母さん…クソ、この際誰でもいい。最寄の派出所の警察官、隣近所のゴミの分別にやかましいおばちゃんだっていい。
誰か…青葉…
ガラスの弾ける音がして、俺はなんとか錠剤を飲み込まずに済んだ。一体何が起こったっていうんだ。
「一つ人より兄さんを 二つ不埒な眼差しで 三つ見つけて守る私こそ 兄さんと結ばれるべくして生まれた妹の中の妹、風間 青葉 ただ今見参!!」
訳の分からん事をぬかして現れたのは結局青葉だった。隣近所のゴミの分別にやかましいおばちゃんといい勝負だったのだが、結局青葉か…
だかそんな贅沢を言っている場合ではない。助けてくれるならありがたい事だ。
「あ…おば…助けて…」
俺はなんとか声帯を動かして青葉に助けを求めた。
「分かりました兄さん。」
どうやら伝わったようだ。
「この場での3人によるプレーをお望みなんですね?」
ち…違う…圧倒的に違う。なんでコイツは俺の妹だっていうのにそんなアホみたいな頭脳回路してるんだ。
俺は一刻も早くここから逃げ出したいんだ。なんとかしてくれ。
「青葉ちゃん。」
そこに口を挟んだのはほのかだった。一体何を言い出すのか俺は恐怖心を高ぶらせながら聞いていた。
アイツの事だ。きっと青葉も殺すに違いない。きっとそうだ。
「グッドアイディア。私青葉ちゃんと仲良くやっていけそうよ。」
く…今一度言いたいクソッ!!
一体どこで俺は歯車を間違えのか。俺に未来を変える力、もしくわ過去を改ざんする力、でなければ別次元へと飛んでいける力があったら早く発動してくれ。
二人はユックリと歩み寄り俺の衣服へと手をかけた。
やべぇ、魔方陣の影響かどうか知らないが意識が途切れそうだ。どうせ気を失ったってコイツらとんでもない事をやるに違いねぇ。
だが待てよ、気絶するともしかして最悪の事態も避けれるのではないだろうか。イヤ待て、そんな確証どこにある?試した事あるのか?あるわけねぇ〜
俺はそうして…気を失ってしまった。その後の事がどうなったかは知らない。
気が付くと、俺は元いたベットで寝ていた。SLの客室のベットだ。横には青葉が寝息を立てている。夢?だったのかな…
部屋の中に人の気配を感じ、暗がりの中俺は目を凝らした。
「あら、気付かれちゃったみたいね。」
暗くてよく見えないが、白髪に赤い瞳の女性が一人立っていた。
「アンタは?」
普通なら警備員を呼ぶところだが、もしかしたらこの人が助けてくれたのかもしれない。俺はそのまま話を続けた。
「そうね、謎のガンマン・イリュージョン幸子とでも名乗っておこうかしら。」
見ると女性の腰には銀色のハンドガンが光っていた。もしかしたら危ない人なのかもしれない。イリュージョン幸子っていうのもどうもうさんくさい。
「アンタ…幸子さんが助けてくれたのか?」
「ん?まぁそういう事。あんまりヘマしないでよ?君もバットエンドはイヤっしょ?」
「は、はぁ。」
「んじゃ私は行くから。頑張ってね。あぁ、そうだ、寝てる時でも出るモンは出るわよ?」
「は?」
そういうとその人は闇に溶けるように消えていった。俺にはその場から本当に消えたように見えたのだが俺の見間違いだろう。
なんせイリュージョンだからな、そのぐらいの事はするだろ。
俺は取り合えずパンツの下を確認した。何も変化は無いし変な脱力感は無い。
安堵とともに俺は眠った。
「誰か…マジで助けてくれ…」
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